「部下がなかなか育たない」「どうすればもっと主体的に動いてくれるのだろう?」—もしあなたがマネジメント層の方なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるかもしれません。
昨今、私たちの働き方は、AIの普及や働き方の多様化によって大きく変化しています。
それに伴い、上司に求められる役割もまた、従来の「指示・命令」から「部下の可能性を引き出す」ことへとシフトしています。
特に、新入社員の意識調査では「優しさや細やかなサポート」を求める声がある一方で、
「行動で示してくれる」「的確に教えてくれる」といった実力への期待も高く、上司には柔軟な対応が求められています。
今回は、最新の動向から見えてきた、部下を本当に伸ばせる上司が持つ3つの共通点をご紹介します。
これは、私たち人材派遣の現場で日々多くの企業や求職者と接する中で、強く感じていることです。
1. |「安心」と「信頼」の土台を築く心理的安全性
「この上司になら何でも話せる」「失敗しても大丈夫」と感じられる環境、それが心理的安全性です。
これがなければ、部下は本音で意見を言えず、新しい挑戦をためらってしまいます。
・「傾聴」で心を開く
部下の話にじっくり耳を傾け、表面的な言葉だけでなく、その背景にある感情や思いを理解しようと努めていますか?
忙しい中でも、相手が話しかけてきた時に手を止め、真剣に聞く姿勢は、信頼関係を築く第一歩です。
・「一貫性」で揺るがない信頼
言っていることとやっていることに矛盾はありませんか?
約束を守り、誰に対しても公平な態度で接する上司には安心してついていきます。
・「フィードバック」は成長の機会
改善点を伝える際も、感情的にならず、具体的な事実に基づいて伝えましょう。
部下の人格を否定するのではなく、行動に焦点を当て、「どうすればもっと良くなるか」を一緒に考える姿勢が彼らの主体性を引き出します。
ポジティブなフィードバックは、すぐに伝えることで効果が高まります。
2. |「個性」を認め、「自律」を促す個別最適化された育成
かつてのように「全員同じやり方」で教えていては、多様な個性を持つ現代の部下は育ちません。
一人ひとりの特性を見極め、それぞれの強みを活かす育成が重要です。
・「強み」を見つけ、輝かせる
どんな時にイキイキしているか、どんなことを得意としているかを観察していますか?
彼らの潜在能力を見つけ出し、それを活かせる仕事や役割を与えることで、自信をつけ、大きく成長します。
・「任せる」勇気と「見守る」忍耐
部下に権限を移譲し、仕事の進め方を任せることは、彼らの責任感を育み、自ら考えて行動する力を引き出します。
最初は時間がかかったり、失敗することもあるかもしれませんが、焦らず、温かく見守る姿勢が大切です。
・「挑戦」を後押しするストレッチ目標
少しだけ背伸びが必要な、挑戦的な目標を設定し、それを達成するためのサポートを惜しまない上司は、部下の成長意欲を最大限に引き出します。
「君ならできる」という信頼のメッセージが、彼らを大きく成長させます。
3. |自らも「学び続ける」背中で語るリーダーシップ
①「弱み」も「学び」もオープンに
上司も人間ですから、知らないことや苦手なことがあって当然です。
「この前、こんなことを学んでね…」「ここはまだ自分も試行錯誤しているんだけど…」といった自己開示は、相手が親近感を持ち、自分も学び続けようとするきっかけになります。
②「感情知性(EQ)」の高さ
自分の感情をコントロールし、部下の感情を察して共感できる上司は、チームの雰囲気を良好に保ち、深い信頼関係を築けます。
部下の些細な変化にも気づき、適切な声かけができる上司は、彼らの心の健康も守ることができます。
③「優しさ」と「厳しさ」の絶妙なバランス
若手社員が求める「優しさ」は、単なる甘やかしではありません。
適切なタイミングで温かく寄り添い、困っている時には細やかなサポートをする一方で、成長のためには「ここまではやりきろう」「こうすればもっと良くなる」と、明確な期待と指導を示す「厳しさ」も必要です。
このバランスこそが、部下を真に成長させる鍵となるでしょう。
4.|まとめ
部下を伸ばす上司とは、単に業務を管理するだけでなく、一人ひとりの可能性を信じ、その成長に真剣に向き合う「伴走者」のような存在です。
心理的な安全性を築き、個性を尊重した育成を行い、そして上司自身が常に学び続ける背中を見せること。
これらが、これからの時代に求められるリーダーシップの共通点です。