
2026年7月、民間企業における障がい者の法定雇用率が2.7%へと引き上げられました。
すでに新基準のもとで採用活動を進められている企業様も多いのではないでしょうか。
しかしその一方で、「フルタイム枠で募集しても求職者が集まらない」「採用しても短期間で離職してしまう」「現場の受け入れ負荷が限界に近い」といった悩みの声も数多く寄せられています。
そこで今、大きな注目を集めているのが、「週10〜20時間(特定短時間)」の雇用を活用したスモールステップ型の人材パイプライン構築です。
今回は、制度のポイントをおさらいしつつ、超短時間雇用からスタートして定着率と採用力を劇的に高める新しい雇用戦略について解説します。
算定対象の拡大:制度の重要ポイントをおさらい
まずは、2024年4月に施行された障害者雇用促進法の制度改正ポイントを改めて確認しておきましょう。
この改正により、障がい者雇用の枠組みが大きく広がっています。
✅特定短時間労働者のカウント(0.5人分)
週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の「重度身体・知的障がい者」および「精神障がい者」が、「特定短時間労働者」として0.5人分の雇用率算定対象となっています。
✅精神障がい者の特例措置(1.0人分)
精神障がい者の方が週20時間以上30時間未満で勤務する場合、一定の条件を満たせば1.0人分としてカウントできる特例措置も継続されています。
これまで「週20時間以上」の勤務が難しく、採用の選択肢から外れてしまっていた層を、正式に雇用率の算定対象として迎え入れられる環境が整っています。
いきなり週30時間を目指さない。「スモールステップ型雇用」の劇的効果
フルタイム(週30時間以上)での就労には不安がある求職者や、体調に波がある精神障がい者の方にとって、環境の急激な変化は早期離職の大きな原因となります。
そこで提案したいのが、「週10〜15時間の超短時間からスタートし、本人の適性や体調に合わせて段階的に労働時間を延ばしていく」というスモールステップ型の導入アプローチです。
この手法を取り入れることで、企業には次のような大きなメリットが生まれます。
1. 募集母集団が飛躍的に拡大する
「週30時間のフルタイム勤務」を条件にすると応募を躊躇していた層が一気にターゲットとなります。
潜在的な優秀層や、やる気があっても体力面に不安を感じていた求職者からの応募が急増し、採用のハードルが劇的に下がります。
2. 現場の受け入れ負荷を最小化できる
いきなりフルタイムで受け入れるとなると、現場の教育コストや業務切り出しの負担が集中します。
週10〜15時間であれば、「月曜と木曜の午前中のみ」「毎日2時間だけ」といったピンポイントの業務割り振りが可能になり、現場スタッフの受け入れストレスを最小限に抑えられます。
3. ミスマッチを防ぎ、離職率ゼロの安定パイプラインを構築できる
超短時間勤務の期間は、いわば「お互いの適性や働きやすさを確認する準備期間」です。
スモールステップで少しずつ業務範囲と労働時間を広げていくことで、職場への定着率が飛躍的に向上します。
結果として離職率の低下につながり、自社内に安定した人材パイプライン(定着・育成の仕組み)が確立されます。
これからの障がい者雇用は「量」から「定着と育成」へ
法定雇用率「2.7%」への引き上げに対応しようと急激に採用枠を拡大すると、ミスマッチや現場の荒廃、早期離職という悪循環に陥りがちです。
今後予定されているさらなる法定雇用率の引き上げを見据えても、今取り組むべきは短期的な数合わせではありません。
大切なのは、「いきなり完成された働き方を求めない」こと。
週10〜20時間の超短時間雇用から始め、段階的にステップアップしていく仕組みをつくることこそが、企業と求職者の双方が笑顔になれる持続可能な障がい者雇用のカギとなります。
「自社でどのような業務を週10時間枠として切り出せばいいかわからない」「特定短時間労働者の採用計画の立て方を知りたい」といったお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。
貴社の現場に合わせた最適な雇用プランをご提案いたします。


